亀戸天神境内
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名所江戸百景 No.65亀戸天神境内

 亀戸の土地は昔、海に囲まれた島であり、亀の形をしていたことから亀島と呼ばれていた。その後この島の周辺に陸地が広がって村ができ、亀村と名付けられた。さらに村に亀が井という古い井戸があり、村の名前も亀井戸村となった。
 この村に、菅原道真を祭神とする天満社が創建されたのは、寛文元年(1661)のことであった。太宰府の天満宮の神官であった大鳥居信佐が、神木の飛梅(とびうめ)の木で彫った道真の像を、この村にあった小祠に祀ったのがその始まりであるという。その翌年の寛文二年に、彼はこの地より東に幕府から土地を拝領し、寛文三年に同地に太宰府の天満宮を模した殿宇、太鼓橋、心字池などを造営し、亀戸天満宮を建立した。天満宮につきものの梅は、この天満宮にもあったが、この天満宮で梅よりも有名であったのは藤の花であり、池の周りを藤棚が取り巻いていた。また正月の24日と25日に行なわれた鷽替(うそかえ)の神事も有名で、参詣者は社務所で木製の鷽を買い、これに去年のうそをなすりつけて、社前に供えられた今年の鷽と取り替えると、自分のうそはすべて帳消しになると信じられていた。この天満宮は江戸一番の大きさを誇り、「東の太宰府」とも呼ばれていた。広大な境内には酒楼や茶店が軒を連ねて建ち、名物は蜆汁であった。
 フランス印象派の画家クロード・モネは、日本の浮世絵から多大な影響を受けたとされている。彼は自庭に日本式庭園を造り、睡蓮の池に太鼓橋をかけた。この太鼓橋は、この絵の太鼓橋を真似たものとされている。

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