画面は、刈ったばかりの葦束を5頭の牛の背に載せ、農夫たちが家路に向っている様子が描かれている。この一行の先頭には、二人の農婦が青々とした葦の葉を背負っていて、臨場感ある生活の雰囲気も、上手に描出している点は見逃せない。また墨と茶色を基調とした牛と背の葦は、画面全体の重量感を引き立てており、全体にわたる丁寧な人物描写は、シリーズ中では異色なー図といえるが、この後に出版されはじめる「百人一首姥が絵説」と共通する部分も見い出される点に興味ぶかいものがある。
なお大野新田は、現在の静岡県富士市南部にあたり、往時は葦の生い茂る沼地の多い場所であったと伝わる。
>> 専用額について詳しくはこちら