猿わか町よるの景
AreaSceneSeasonEtc

名所江戸百景 No.90猿わか町よるの景

 江戸時代、能は武士階級が見て楽しむものであり、芝居(歌舞伎)は町人が見て楽しむもので、武士階級が見に行くものではないとされていた。芝居は市民の風俗を乱すと考えられ、また小屋から火事を出したりしたので、幕府からは日頃から快く思われていなかった。たまたま、幕府の天保改革(1841-43)の最中に、江戸の中心地にあった中村座、市村座、森田座の三座のうち、中村座の楽屋から火が出て周囲の芝居町を焼いてしまった。この機会を捉えて幕府は、この三座と人形芝居の二座に対して、浅草北の辺鄙(へんぴ)な土地へ移転するように命じた。新しい芝居町は、江戸歌舞伎の始祖・猿若勘三郎の名を取って猿若町と名付けられた。ところが、この地の南西に江戸一番の繁華街の浅草があり、さらに西北には新吉原という遊廓を控えていて、この地へ移転してからの芝居は衰えるどころか、かえって繁盛し、最盛期を迎えることとなった。
 広重はこの猿若町を北から南を見て描いている。右側の手前から森田座、市村座、中村座と並んで建っていて、左側の手前は芝居茶屋で、その先に人形芝居の二座が続いていた。三座の芝居小屋の屋根の上には、それぞれ幕府が興行を許可した小屋であることを示す櫓が上げてあった。
 芝居興業は、一般に明け六ツ(午前6時)から、暮れ六ツ(午後6時)までの昼間興業であった。満月に照らされた猿若町のこの絵は、芝居が跳ねた後であることを示している。
 広重は、西洋画から学んだと思われる遠近法や人物などに付ける蔭を使ってこの絵を描いている。この中、遠近法については、彼独得の処理方法を生み出し、かえって、フランス印象派画家モネなどに影響を与えたといわれている。

猿わか町よるの景


¥32,000 (税抜)
日本円 (¥) - JPY
  • 日本円 (¥) - JPY
  • United States dollar ($) - USD
カートに入れる

※こちらの商品には専用額が付属しています

>> 専用額について詳しくはこちら

本商品は江戸時代より変わらぬ技術・技法を継承し、伝統の多色摺り木版画を制作する「江戸木版画」というブランドとして、経済産業大臣指定伝統的工芸品、東京都伝統工芸品に指定されております。

・越前生漉奉書使用
・版画寸法:タテ約34cm×ヨコ約22 cm
・額入り(専用額について)

※ 額無しでのご注文も承っております。備考欄に「額無し希望」とご記入をお願いいたします。折り返しのメールにて金額を変更いたします。

江戸時代の地図


猿わか町よるの景 > 復刻古地図を見る

現在の地図


> 大きい地図で見る

関連浮世絵


復刻浮世絵専用額


専用額1 専用額2

深いブラウンがモダンな印象の木製額で、シンプルなデザインはどのようなインテリアにも馴染みます。 浮世絵木版画は寸法の比率が特殊であるため、既成の額では余白と作品のバランスが不自然になってしまうことが多いですが、こちらの専用額をご利用いただければ、商品が到着したその日から、作品を美しく飾っていただけます。また、紐を通し替えるだけで簡単に縦横どちらの向きでもお使い頂け、作品の入れ替えはとても簡単です。 ガラスの代わりに丈夫で軽いアクリル板を使用していますので、輸送や持ち運びも安心です。

  • 対応商品:復刻浮世絵作品
  • 寸法:縦51.0cm x 横35.0cm x 厚さ2.0cm
  • 材質:木材・アクリル
  • 重さ:1.3kg
  • 日本製

SHOPPING BAG

小計¥0
カートは空です