最も目立つ画面中央の大きな鳥居の中に、それとは反対に小さく白い富士を覗かせている。その周囲では、汐干狩の男や婦人のほかに、網を担ぐ漁師がおり、また遠方には漁をする二艘の舟がみえ、往時の穏やかな江戸湾海浜の様子を彷彿とさせるー図である。
構図的にみると、後方の鳥居辺で無邪気に遊ぶ子供が、手前の大人と比べても小さめに描かれ、鳥居も同じく小さいので、画面右から左にかけて遠近感を表出しようとする意図が窺える。また、右下から続く陸は大きく湾曲しながら、左端が最も小さく遠方となっていることからそれを知られるが、ここが江戸の湾内であることをこうして表現していることも見逃せない。
なお登戸浦は現在の千葉市登戸のことで、画中の鳥居は登戸神社(登渡神社)であるとみるのが、郷土史家の大方の見解である。
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