表題の石班沢は、石斑沢の誤刻と考えられ、富士川の鰍沢とみるのが一般的である。その鰍沢は、釜無川と笛吹川が合流する急流として知られ、また画面もまるで海辺に波が激しく押し寄せているかのように描かれている。
河面にせり出した岩上には、網をうつ漁師と子供の姿がみられ、背景には幾筋にも流れる霧と、霞んで僅かに山容をみせる裏富士のみが描かれている。
まるで静止しているかにみえる人物に対し、激しい水流や一面にゆっくりと動きをみせる霧が対照的で、雄大な自然の雰囲気を違和感なく見事にまとめた名作といっていいだろう。
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